電通社員の過労死から考えた、娘に『どう生きて欲しいか』
宣伝が仕事である電通は、自社が超絶ブラック企業であると、何もしなくてもどんどん拡散されて何よりの宣伝になっている。
私はSuicaのペンギンが好きだが、今日Suicaのペンギンのハンカチに書いてある「DENTSU」の文字を見て、このペンギンの宣伝をしてる人たちは日々血反吐を吐きながら仕事してるのか。と思ったら、癒しのパワーがマイナス200% 暗澹とした気分になったよ。
100時間でも良いよ♪
三田労働基準監督署(東京)は、昨年11月上旬に高橋さんが鬱病を発症したと判断し、発症前の1カ月(昨年10月9日~11月7日)の残業を「105時間」と認定
【電通女性社員自殺】「残業隠し」過少申告を指導 全社的な隠蔽工作か 労働局が調査(1/2ページ) - 産経ニュース
『残業時間が105時間』との報道を見た時に、一番最初に感じたのは、「フツーだよね」でした。
うちの部署の36協定は、超勤月80時間まで、だけど3ヶ月に1月は100時間までオッケイという規定だよ♪ と、先日の会議で部長が言ってた。(ソフト開発の部署です)
過労死ラインが超勤月80時間と言われてる中、毎月80時間オッケイ♪って。しかもたまには100時間でも良いよ♪って言う労基署は、残業規制するつもりはなく、むしろ『働かせてあげるよ♪』と言っているように思える。そしてその話をする部長も、『これだけ働けて皆さんラッキーだよ♪』ってかんじで話されるのです。
そもそも、協定が80時間ということは、実際は100時間超働いてるということです。私が以前まともに超勤付けたら、月140時間になった。その時周りはもっと働いていたけど、その通りに申請する人は皆無なのです。
「遺族の弁護士の集計によれば、残業時間は昨年10月が130時間、11月が99時間。ただし、“70時間を超えてはいけない”という上司の指導で、会社へは10月は69.9時間、11月は69.5時間と過少に申告させられていた」
電通社員が自殺 大手企業の子息らが優遇され一般家庭の社員にしわ寄せか - ライブドアニュース
報道を見るうちに、問題は長時間労働よりも、パワハラではないかと思うようになりました。
《部長(中略)「髪ボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「今の残業量で辛いのはキャパがなさすぎる」わたし「充血もダメなの?」》
《男性上司から女子力がないだのなんだの言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である》
IF パワハラ AND 長時間労働 then 過労死
彼女の遺したツイッターを読むと、パワハラが本当にえげつない。
もし、長時間労働が続いても、上司が「目が充血してるね。お疲れ様。」ぐらい言える人間らしい人間であれば、モチベーションを保って仕事できたかもしれない。
もし、職場でパワハラがあっても、充分に休息できる時間が確保されていれば、「できない私が悪いのではない。会社がおかしいのだ。」と思えたかもしれない。
あるいは、大変だよね。と同情してくれる同僚や、同じ目に遭っていても共に愚痴を言い合える仲間がいれば、まだ何とか気を保てたかもしれない。
彼女は、
とても真面目で、頑張り屋さんで、
猛勉強して東大に入って、
頑張って就活して電通に入って、
入社してからも一所懸命仕事に励んだけど、
意味のわからない長時間労働とパワハラに遭って、ある日ポキッと折れてしまった。
報道からの推察で、彼女に会ったことがない人間が言っても、ご本人から必ず何かは「違う」と言われるだろうけど、そういう姿がイメージできます。
多分、周囲からは
「電通に入れて安泰ね」
とか
「エリート街道に乗ったね」
とか言われてたかもしれない。
「大変でも、まだ入社まもないから」
頑張れと言われただろうし、本人もそう思ってたと思う。
頑張っても、どうしようのないこともある。
彼女の母親は、とってもとってもとっても、悔しいと思います。
じゃあ私は、母親として、娘にどう育って欲しいか。
しなやかに、自由に、ただ生きていて欲しい。
今の時代、学歴があれば安心。でも、大企業に入ったら安心。でも、公務員なら安心。でも、専門職なら安心。でも、もちろん結婚したら安心。でもない。
組織に潰されそうになっても、何かに行き詰まっても、ある日、社宅から飛び降りるのではなく、南の島や北の大地に飛び立って、その地で自由に楽しく生きて欲しい。
頑張っても、どうしようもないこともある。
頑張る必要のない場所で、頑張らなくていい。
立派な職業に就かなくても、結婚してもしなくてもいい。
私は、この場所じゃなくても生きていける。
何をしてでも、生きていける。
そう考えられるようになって欲しい。
どうしたら、そう考えられる人に育つか、私には解はないし、確固たる手法なんてないと思う。
ただただ、明るく楽しく、生きて欲しい。
そう願って、日々を娘と共に過ごすだけです。
「女性が輝く社会」なんて、待っていても絶対に来ない
「超勤105時間なんてフツーだよね」という空気の社会で、頑張ってる人は弱音すら吐き出せない。
パワハラは定量化が難しいし、「空気」や「社風」は外からは見えにくい。彼女のSNS上のつぶやきがなかったら、こんなに明るみに出ることはなかったと思う。
長時間労働が常態化している会社はパワハラも常態化している可能性が高いので、まずは労働時間を監視することは有効だけど、労働者が自己申告する時間は、本当の勤務時間の半分ぐらいと思っていい。
これを機に、労働環境が少しでも改善されて、彼女の死が「無駄死に」にならないことを願います。